振替休日はいつまでに取得する?
期限や週またぎ・月またぎの注意点を解説

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#勤怠管理

2026年08月27日

 振替休日を設定する際、「いつまでに取得させればよいのか」「翌月に持ち越しても問題ないのか」と迷うこともあるでしょう。

 結論からいうと、振替休日に「○日以内」といった法律上の明確な取得期限はありません。ただし、できるだけ元の休日に近い日に設定することが望ましく、週をまたぐ場合は割増賃金が発生することもあります。

 本記事では、振替休日の取得期限をはじめ、代休との違いや週またぎ・月またぎの扱い、取得できなかった場合の対応までわかりやすく解説します。

1. 【結論】振替休日はいつまでに取得すればいい?

 結論から言うと、振替休日には「〇日以内に取得しなければならない」という法律上の明確な期限は定められていません。労働基準法には振替休日そのものを直接規定した条文がなく、取得期限についても言及がないためです。

 ただし、厚生労働省の「モデル就業規則」では、振替休日は4週4日の休日が確保される範囲で、できるだけ近接した日に設定することが示されています。長期間の先送りは避け、できるだけ元の休日に近い日に設定することが大切です。

 そのため実務上は、就業規則で振替の手続きや振替日の指定方法を明確にし、必要に応じて「○週間以内」などの社内期限を設けて運用するとよいでしょう。期限を定めずに運用すると、振替休日の取得が長期化し、労務管理が複雑になるだけでなく、従業員の健康管理の観点からも望ましくありません。

2. 振替休日とは?代休との違い

 振替休日とは、あらかじめ休日と労働日を入れ替え、本来の休日を労働日に、本来の労働日を休日にする制度です。

 たとえば、日曜日を休日としている企業が、事前に「今週の日曜日を労働日、翌週水曜日を休日にする」と決めておくケースが振替休日にあたります。

 労働基準法35条では、企業は従業員に「週1日、または4週間で4日」の休日を与える義務があるとされており、これを法定休日と呼びます。休日を振り替える場合も、この法定休日の枠組みを踏まえて運用する必要があります。

 振替休日と混同されやすい制度に「代休」があります。両者の違いは、休日と労働日を入れ替えるタイミングです。

振替休日 代休
手続きのタイミング 事前に休日と労働日を入れ替える 休日出勤後に休みを与える
元の休日 労働日になる 休日のまま
法定休日に勤務した場合の休日割増 適切に振り替えていれば原則不要 35%以上の割増賃金が必要

 振替休日は「事前に休日を移動させる」制度であるため、原則として休日労働という扱いにならず、割増賃金(休日割増)は発生しません。一方、法定休日に勤務した後で代休を与えても、休日労働をした事実は変わらないため、35%以上の休日割増賃金が必要です。この違いを正確に理解しておくことは、給与計算のミスを防ぐうえでも重要です。

参考:厚生労働省「振替休日と代休の違いは何か。」

3. 振替休日を設定するためのルール

 振替休日を適正に成立させるには、いくつかの要件を満たす必要があります。ここでは、就業規則への規定、振替日の事前指定、近接日での取得という3つのポイントに分けて解説します。

3-1. 就業規則に振替休日の規定を設ける

 振替休日を運用する場合は、就業規則にその根拠となる規定を設けておく必要があります。労働基準法89条により、休日に関する事項は就業規則の絶対的必要記載事項とされており、振替休日についても例外ではありません。

 規定には、振替休日の対象となる休日や振替の手続き、振替日の指定方法、必要に応じた社内期限などを具体的に盛り込んでおくことで、運用時の判断のブレを防げます。規定が曖昧なまま運用すると、代休との区別があいまいになり、割増賃金の計算ミスや労使間のトラブルにつながるおそれがあります。

3-2. 振替日を事前に指定する

 振替休日を成立させるには、休日出勤をさせる前に、振り替える休日(振替日)を具体的に指定し、対象となる従業員へ通知しておく必要があります。厚生労働省の「モデル就業規則」では、振替休日を特定し、振替について前日までに通知することが示されています。

 事後的に休みの日を指定した場合は、振替休日ではなく代休にあたります。法定休日に勤務した場合は35%以上の休日割増賃金が必要となり、所定休日の勤務でも週の法定労働時間を超えた場合は時間外割増賃金が必要です。「振替休日のつもりだったが、通知が休日出勤後になってしまった」というケースは実務でも起こりやすいため、通知のタイミングを社内ルールとして明確にしておくことが大切です。

3-3. できるだけ近い日に設定する

 振替日は、もとの休日からできるだけ近い日に設定することが望ましいとされています。これは行政通達の考え方に基づくものであるとともに、労働者の健康確保の観点からも重要です。

 長期間にわたって振替休日を取得させないままにすると、実質的に長時間労働・連続勤務が続く状態になりかねません。企業には労働契約法5条に基づく安全配慮義務があるため、休日出勤から近い日に休みを取らせることで、従業員の疲労回復とワークライフバランスの確保につなげましょう。

4. 振替休日が週またぎ・月またぎになる場合の注意点

 振替休日は、必ずしも同じ週・同じ月の中で完結するとは限りません。業務の都合によって振替日が週や月をまたぐこともありますが、その場合は労働時間の管理や給与計算に注意が必要です。

4-1. 週をまたぐと割増賃金が発生する場合がある

 振替休日が翌週以降になり、振替勤務をした週の実労働時間が週の法定労働時間を超えた場合、その超過分については時間外労働として割増賃金が必要です。通常の労働時間制では、原則として週40時間を超えた時間について25%以上の時間外割増賃金が必要です。

 例えば、1日8時間・週5日勤務の従業員が、ある週に通常の40時間に加えて振替により8時間勤務した場合、その週の労働時間は48時間になります。この場合、原則として40時間を超えた8時間について25%以上の時間外割増賃金が必要です。

 同一週内に振替休日を取得できれば、週の労働時間が調整され、この割増賃金の発生を避けられる可能性があります。振替休日の期限をできるだけ短く設定する企業が多いのは、この点も理由のひとつです。なお、割増賃金の具体的な計算方法については、こちらの記事もあわせてご覧ください。

関連記事:振替休日に割増賃金は発生する?週またぎ・法定休日・代休との違いを解説

4-2. 月をまたぐ場合は給与計算に注意する

 振替休日について、法律上「同じ月内に設定しなければならない」という決まりはありません。ただし、月をまたぐ場合でも、あらかじめ振替日を特定するなど、振替休日としての要件を満たす必要があります。また、振替勤務と振替休日が給与の締め期間をまたぐと、勤怠管理や給与計算が複雑になることがあります。

 特に、振替勤務によって週の法定労働時間を超えた場合、翌月に振替休日を取得しても、すでに発生した時間外労働の割増賃金がなくなるわけではありません。振替勤務をした週と振替休日を取得する週、それぞれの労働時間を正しく管理する必要があります。月またぎで振替休日を設定する場合は、振替日だけでなく、給与の締め日や週ごとの労働時間も確認して管理しましょう。

5. 振替休日を取得できなかった場合はどうなる?

 振替休日は、あらかじめ休日と労働日を入れ替える制度です。そのため、振替を行う時点で「いつを休日にするか」を具体的に決めておく必要があります。

 しかし、業務上の都合などにより、あらかじめ指定した振替日に休めなくなることもあります。この場合は、指定した振替日にも勤務することになるため、法定休日の確保状況や週の労働時間などを確認し、勤務実績に応じて適切に対応する必要があります。

 法定休日の確保状況や労働時間によっては、休日労働や時間外労働として割増賃金が必要になる場合があります。また、振替休日の先延ばしは、連続勤務の長期化や従業員の負担増加につながるおそれがあります。「後日休ませれば問題ない」と考えず、就業規則や社内ルールを確認したうえで、できるだけ早く休日を確保しましょう。

6. 振替休日の期限・未消化を適切に管理するポイント

 振替休日を適切に運用するには、振替日を決めるだけでなく、予定どおり休日を取得できているかまで管理することが重要です。ここでは、振替休日の取得漏れや割増賃金の計算漏れを防ぐためのポイントを紹介します。

6-1. 就業規則で振替休日のルールを明確にする

 振替休日には、法律上「○日以内に取得しなければならない」という一律の期限はありません。そのため、就業規則などで社内の運用ルールを明確にしておくことが大切です。

 振替を行うための手続きや振替日の指定方法、社内での取得期限などを定めておけば、担当者によって対応が異なることを防ぎやすくなります。また、「休日出勤した後に休む」という代休との混同を防ぐためにも、両者の申請・承認方法を分けておくとよいでしょう。

6-2. 振替日と実際の取得状況を記録する

 振替休日を設定したら、「いつの休日を、いつに振り替えたのか」を記録しておくことが重要です。申請や承認の履歴とあわせて管理しておけば、振替日を予定どおり取得できたか確認しやすくなります。また、週またぎ・月またぎが発生した場合にも、労働時間や給与計算を確認しやすくなります。

 口頭だけで処理するのではなく、書面や勤怠管理システムなどで記録を残せる仕組みにしておきましょう。

6-3. 振替休日の取得状況を定期的に確認する

 振替日を決めていても、予定どおり休めているとは限りません。「誰が・いつ休日を振り替え・いつ休む予定なのか」を把握し、振替日にも勤務している従業員がいないか定期的に確認しましょう。

 特に従業員数が多い企業では、勤怠管理システムを活用して休日出勤や振替休日の情報をまとめて管理することで、取得漏れを防ぎやすくなります。

7. 振替休日に関するよくある質問

7-1. 振替休日は1か月以内に取得しなければならない?

 法律上、「1か月以内に取得しなければならない」という一律の期限はありません。ただし、厚生労働省の資料では、法定休日を確保したうえで、振替休日はできるだけ近接した日に設定することが示されています。企業が就業規則などで「1か月以内」といった期限を定めている場合は、その社内ルールに従って運用しましょう。

7-2. 振替休日は翌月に取得してもいい?

 振替休日について、「同じ月内に設定しなければならない」という法律上の決まりはありません。あらかじめ翌月の日を振替日として特定し、必要な休日を確保するなどの要件を満たしていれば、月をまたいで振り替えることも可能です。

 ただし、月をまたいでも週ごとの労働時間は適切に計算する必要があります。振替によって週の法定労働時間を超えた場合は、時間外割増賃金が必要になることがあります。また、給与の締め期間をまたぐと勤怠管理や給与計算が複雑になりやすいため、できるだけ近い日に設定するとよいでしょう。

7-3. 振替休日と有給休暇は同じ?

 振替休日と年次有給休暇は異なるものです。振替休日は、あらかじめ休日と労働日を入れ替えることで設定される「休日」です。一方、年次有給休暇は、一定の要件を満たした従業員に法律上付与される「休暇」です。仕組みや取得条件が異なるため、勤怠管理上も区別して管理しましょう。

7-4. 振替休日を取得すれば割増賃金は発生しない?

 必ずしもそうとは限りません。適切に休日を振り替えた場合、もとの休日に勤務しても、原則として休日労働に対する割増賃金は発生しません。ただし、振替によって週の法定労働時間を超えた場合などは、時間外労働として割増賃金が必要になることがあります。「振替休日を設定したから割増賃金は不要」と一律に判断しないよう注意しましょう。

8. まとめ|振替休日はできるだけ近い日に設定しよう

 振替休日には、「○日以内に取得しなければならない」という法律上の一律の期限はありません。ただし、あらかじめ振替日を特定し、できるだけもとの休日に近い日に設定することが大切です。

 また、週をまたぐ振替によって週の法定労働時間を超えた場合は、時間外割増賃金が発生することがあります。振替日の指定だけでなく、実際に休日を取得できているか、週ごとの労働時間に問題がないかまで適切に管理しましょう。

 勤怠管理システムを活用すれば、休日出勤や振替休日、労働時間などをまとめて管理しやすくなります。FC勤怠では、企業ごとの勤務ルールに合わせた柔軟な勤怠管理が可能です。振替休日を含む休日管理を効率化したい場合は、ぜひお気軽にご相談ください。