アルバイトにも有給休暇はある?
取得条件・付与日数を解説!

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#有給休暇

2026年05月14日

 「アルバイトには有給休暇はない」——そう思い込んでいませんか?実は、アルバイトやパートであっても、労働基準法(第39条)により、一定の条件を満たせば有給休暇(年次有給休暇)が必ず付与されます。週1日だけのシフト勤務でも、学生バイトでも例外ではありません。

 本記事では、アルバイトの有給休暇の取得条件・付与日数・計算方法をわかりやすく解説します。

1. アルバイトにも有給休暇はある

 有給休暇(年次有給休暇)とは、労働基準法で定められた「休んでも給料がもらえる休暇」のことです。一定の要件を満たせば毎年一定日数の休暇が付与され、取得の理由は問いません。病気・ケガの療養はもちろん、旅行や急な私用など、どんな理由でも取得できます。

 「アルバイトには有給がない」と思われがちですが、これは誤解です。雇用形態(正社員・パート・アルバイト)にかかわらず、一定の条件を満たすすべての労働者に有給休暇を与えることは、使用者の法律上の義務です(労働基準法第39条)。「うちのバイトには有給はない」という職場のルールは法律違反となり、無効です。

 なお、法律上「パート」と「アルバイト」に区別はなく、どちらも「パートタイム労働者」として同じ扱いになります。取得条件・付与日数の計算方法も同じです。

2. アルバイトが有給を取得できる条件

 アルバイトやパートでも、次の2つの条件を満たすと年次有給休暇が発生します(労働基準法第39条)。

  • 入社から6か月以上継続して勤務している
  • 全労働日の8割以上出勤している

 この条件を満たすと、週の勤務日数に応じて有給休暇が付与されます(比例付与)。

週の勤務日数 6か月 1年半 3年半 6年半〜
週5日以上 10日 11日 14日 20日
週3日 5日 6日 8日 11日
週1日 1日 2日 2日 3日

 ※勤務日数が少なくても有給は必ず発生します。

 有給は「雇用形態」ではなく「働き方」で決まります。そのため、週1日のアルバイトでも条件を満たせば対象になります。

3. アルバイトの有給は何日もらえる?付与日数の早見表

アルバイト・パートの有給休暇付与日数早見表(比例付与・勤続年数別)

 付与される有給休暇の日数は、週の所定労働日数と勤続年数によって決まります。正社員と取得条件は同じですが、日数の計算方法は異なります。

週30時間以上・週5日以上は正社員と同じ日数

 週の所定労働時間が30時間以上、または週5日以上勤務している場合は、たとえ時給制のアルバイトであっても正社員と同じ日数が付与されます。勤続6ヶ月の時点で10日、最大で年20日まで増えていきます。

週4日以下・週30時間未満は「比例付与」が適用される

 週の所定労働日数が4日以下、かつ週30時間未満の場合は、勤務日数に応じて日数が少なくなる「比例付与」という仕組みが適用されます。勤務日数が少ない分、正社員と同じ日数を付与するのは公平性を欠くためです。ただし、少ない日数でも権利として確実に発生します。

勤続年数 週5日以上/週30時間以上 週4日 週3日 週2日 週1日
0.5年 10日 7日 5日 3日 1日
1.5年 11日 8日 6日 4日 2日
2.5年 12日 9日 6日 4日 2日
3.5年 14日 10日 8日 5日 2日
4.5年 16日 12日 9日 6日 3日
5.5年 18日 13日 10日 6日 3日
6.5年以上 20日 15日 11日 7日 3日

4. 有給を取ったときの給料はいくら?

 有給休暇を取得した日も、通常どおり給料が支払われます。「休んだらその分の時給は出ないのでは?」と思われがちですが、有給休暇は"給料が発生する休暇"です。

 たとえば、時給1,200円・5時間シフトの日に有給を取得した場合は次のようになります。

時給1,200円 × 5時間 = 6,000円

 実際にいくら支払われるかは、勤務先の就業規則によって異なります。法律上、以下の3つの方法が認められています。

① 通常の賃金(最も一般的)

 「その日のシフト時間どおりに働いた場合と同じ金額」が支払われます。就業規則に定めがない場合もこの方法が適用されます。

例)時給1,300円・シフト5時間 → 1,300円 × 5時間 = 6,500円

② 平均賃金(シフトが不規則な場合)

 直近3ヶ月の給与実績から1日あたりの平均額を算出します。以下の2つを比較して高い方が適用されます。

計算式
原則 過去3ヶ月の賃金総額 ÷ 総日数(暦日)
最低保証 過去3ヶ月の賃金総額 ÷ 労働日数 × 0.6

例)給与合計156,000円・総日数92日・労働日数30日

  • 原則:約1,695円
  • 最低保証:3,120円 → 高い方の3,120円が適用

③ 標準報酬日額

 健康保険加入者のみ対象で、労使協定の締結が必要です。アルバイトへの適用は限定的です。

5. 有給休暇の申請方法・取得できる期限

 「有給を使いたいけれど、どう言えばいい?」「使わなかった分はどうなる?」そんな疑問を持つ方に向けて、申請のポイントと失効させないための期限ルールを解説します。

有給休暇のスマートな申請方法

 有給の申請は、会社のルール(就業規則)に従って行うのが基本です。

申請のタイミング:1ヶ月前が目安

 法律上は「前日まで」でも有効ですが、シフト制の場合はシフトが作成される前に伝えるのがマナーです。急な欠勤で周囲に負担をかけないよう、早めに打診しましょう。

理由は「私用のため」でOK

 具体的な理由を詳しく伝える義務はありません。「私用のため」という理由だけで会社は受理しなければなりません。

会社の「時季変更権」とは?

 会社は原則として有給申請を拒否できません。ただし、繁忙期などで「その日に休まれると事業の正常な運営が妨げられる」場合に限り、取得日をずらしてもらうよう求める権利(時季変更権)があります。

有給休暇には「2年」の有効期限がある

 有給休暇は無限に貯められるわけではありません。使わなかった分には「2年」の時効があります。

2年で消滅

 付与された日から2年経つと、その分の権利は消滅します。

繰り越し

 前年度に使い切らなかった分は、翌年度に1回だけ繰り越せます。

消化の順番

 一般的には「古い有給(繰り越し分)」から先に消化される仕組みになっています。

最大保有日数

 正社員など年20日付与される人の場合、繰り越し分を含めて最大40日まで保有可能です。

退職時の「有給全消化」は労働者の権利

 退職する際に、残っている有給をすべて使い切ることは法的に認められています。

項目 ポイント
全消化のコツ 退職日から逆算して、最終出勤日を調整する。
注意点 退職間際に伝えると引き継ぎが間に合わないため、1ヶ月以上前に相談するのがベスト。
買取りは? 原則禁止ですが、退職時に消化しきれない分を会社が特例で買い取ることは違法ではありません(会社によります)。

6. 「有給はない」と言われたときの対処法

 条件を満たしているのに、店長や責任者から「うちはバイトに有給はないよ」と言われた場合、それは明確な法律違反です。感情的にならず、以下の手順で冷静に対処しましょう。

STEP1:自分の契約形態を確認する

 まず、自分が「労働者」として契約しているかを確認してください。

雇用契約(アルバイト・パート)

有給の対象です。

業務委託契約

 原則として有給の対象外ですが、実態として「シフトを強制されている」「指揮命令を受けている」場合は労働者とみなされ、有給が発生する可能性があります。

STEP2:冷静に確認を促す(切り返し例文)

 「制度がない」と言われたら、まずは「本社の担当部署」や「就業規則」への確認をお願いする形がスムーズです。

【角が立たない切り返し例】

「労働基準法を確認したところ、アルバイトでも半年以上働けば有給が付与されると知りました。私の勤務日数だと〇日付与されているはずなのですが、念のため本社(または事務担当)の方へ確認していただけないでしょうか?」

STEP3:解決しない場合は専門機関へ

 会社が一切応じない、または有給申請を理由に不当な扱いを受けた場合は、一人で悩まず以下の窓口に相談しましょう。

労働基準監督署:

 法令違反に対する指導を行う公的機関。

総合労働相談コーナー:

 予約不要・無料で相談できる窓口。

7. よくある疑問Q&A

 有給休暇に関する、現場でよくある質問をまとめました。

Q1. 急な体調不良で休んだ日を、後から有給に変更できる?

 会社の「許可」があれば可能です。有給は原則として「事前申請」がルールです。会社側に事後振替を認める義務はありませんが、多くの職場では相談に乗ってくれます。「先日欠勤した分を、有給扱いにしていただけないでしょうか」と早めに相談してみましょう。

Q2. 退職時にまとめて有給を使い切ることはできる?

 はい、労働者の正当な権利です。会社はこれを拒否できません。ただし、引き継ぎやシフト調整をスムーズにするため、退職の1〜2ヶ月前には「残日数を確認し、有給消化を含めた最終出勤日」を相談しておくのが社会人としてのマナーです。

Q3. シフトが入っていない日(公休日)を有給にできる?

 できません。有給休暇は「本来働く義務がある日(シフトが入っている日)」に休んでも給料が出る制度です。元々休みの日に有給を充てることはできません。

Q4. 試用期間や研修期間も「半年間の継続勤務」に含まれる?

 はい、含まれます。有給発生のカウントは「入社日(雇い入れ日)」から始まります。試用期間中であっても、初出勤の日から数えて半年経てば、付与の対象になります。

Q5. 繁忙期に有給申請を断られた。違法?

 拒否は原則違法ですが、「時季変更権」の行使は認められています。ただし「忙しいから」「人手不足だから」という理由だけでは認められません。代替要員の確保など最大限の配慮をした上での最終手段に限られます。

Q6. 余った有給を「買い取り」してもらうことはできる?

 原則禁止ですが、例外もあります。有給は休むことが目的の制度なので、買い取りは原則認められません。ただし、「退職時にどうしても消化しきれなかった分」などを会社が特例で買い取ることは違法ではありません。あくまで「会社が認めれば」という条件付きです。