有給休暇の繰越はいつまで?
上限・時効・計算方法をわかりやすく解説!

#有給休暇

#繰越

2026年04月08日

 有給休暇は従業員の健康維持のために認められた重要な権利ですが、忙しさなどから使い切れずに残ってしまうことも少なくありません。そこで活用されるのが、余った有給を翌年度に持ち越せる「有給休暇の繰越制度」です。ただし、有給休暇には「時効(2年)」があり、永久に保有できるわけではありません。付与日数や残日数は従業員ごとに異なるため、人事・労務担当者は取得状況を正確に把握しておく必要があります。

 本記事では、有給休暇の繰越ルール、上限日数、計算方法、注意点を図解でわかりやすく解説します。

1.有給休暇の「繰越」とは?

 有給休暇の「繰越」とは、付与された有給休暇を付与日から1年間で使いきれなかった場合、その残日数を翌年度へ持ち越す仕組みです。労働基準法では、有給休暇は付与日から最長2年間使用できると定められており、期限内に取得できなかった分は翌年度へ繰り越されます。

 忙しさや勤務状況によって有給を使いきれないケースも多いため、繰り越し制度は従業員の休暇取得を柔軟にする重要な仕組みといえます。

2. 有給休暇の繰越ルール|消滅するタイミング(時効)と上限

 有給休暇は、付与日から最長2年間保有でき、これを超えると時効で消滅します。付与された日数はまず1年間使用でき、未取得分は翌年度へ繰り越し可能です。繰り越した有給休暇も翌年度末が取得期限のため、実質的には2年間を上限として管理されます。

2.1有給休暇が消滅するタイミング(時効)

(時効)第百十五条 この法律の規定による賃金の請求権はこれを行使することができる時から五年間、この法律の規定による災害補償その他の請求権(賃金の請求権を除く。)はこれを行使することができる時から二年間行わない場合においては、時効によって消滅する。

引用:『労働基準法』e-Gov法令検索

 労働基準法では、有給休暇の請求権は付与日から2年で時効消滅すると定められています。そのため、前年から繰り越した有給休暇は、繰越した年度の末日が期限となり、そこで未取得分は自動的に消滅します。

 例えば、2025年4月1日に入社した正社員が出勤率8割以上を満たすと、6ヵ月後の2025年10月1日に10日の有給休暇が付与されます。この10日は翌年2026年9月30日までが取得期限ですが、期間内に使いきれなかった分は翌年度へ繰り越され、最長で2027年9月30日まで使用できます。

2.2有給休暇の上限日数(繰越できる日数)

 繰り越せる日数には法的な上限はありませんが、付与日数に上限があります。フルタイム従業員の場合、勤続6年半以上での付与日数は最大20日のため、翌年度に繰り越せる理論上の最大日数も20日となります。

  • 今年度付与(最大20日)
  • 前年度からの繰越(最大20日)

→ 最大40日が保有可能

 ただし、年10日以上付与される従業員には 年5日の取得義務 があるため、実際の繰越日数は理論値より減少します。また、企業によっては就業規則で日数上限(キャップ)を設けているケースもあり、実務ではこれに従う必要があります。

3. 有給休暇の繰越の計算方法|翌年度にいくつ残るかを図解で解説

 有給休暇の繰り越しを計算するには、前年度の繰り越し日数・今年度の付与日数・取得日数の3つを把握することが基本です。以下では、具体的な数値を使って、繰り越し日数の求め方をわかりやすく紹介します。

〇今年度の取得日数が「前年度繰越分より多い」場合

 今年度の取得日数が前年度の繰越日数を超える場合は、次の式で翌年度の繰越日数を求めます。

 翌年度へ繰り越す日数= 今年度の付与日数 −(今年度の取得日数 − 前年度繰越分)

<具体例>

  • 前年度繰越:8日
  • 今年度付与:16日
  • 今年度取得:10日

翌年度へ繰越:16 −(10 − 8)= 14日

 前年度分を優先的に消化したうえで、今年度付与分の一部を使用するため、残った日数=繰越分となります。

〇今年度の取得日数が「前年度繰越分より少ない」場合

 今年度取得日数が前年度繰越を下回っている場合、今年度付与分は1日も消化されず残ります。したがって繰越日数は次のとおりです。

 翌年度へ繰り越す日数 = 今年度の付与日数

<具体例>

  • 前年度繰越:8日
  • 今年度付与:18日
  • 今年度取得:6日

翌年度へ繰越:18日

 前年度繰越分のみで取得日数がまかなわれるため、今年度分18日がそのまま翌年度の繰越日数になります。

〇【図解イメージ】繰越計算の全体像(モデルケース)

 勤続8年の従業員を例に、有給休暇の流れを図解すると以下のようになります。

年度 前年度繰越 今年度付与 今年度取得 年末残高 翌年度へ繰越
2023 0日 20日 5日 15日 15日
2024 15日 20日 20日 15日 15日
2025 15日 20日 10日 25日 20日(※繰越の残5日は時効で消滅)
2026 20日 20日 10日 30日 20日(※繰越の残10日は時効で消滅)

 ※前年からの繰越分を優先して消化 → 余った繰越分は時効 → 今年度付与分が翌年に残る、という仕組みです。

4. パート・アルバイト・派遣社員の有給休暇の繰越はどうなる?

 パート・アルバイト・派遣社員の場合、法定要件(継続勤務6ヵ月・出勤率80%以上)を満たせば、正社員と同様に有給休暇が付与され、繰り越しルールも同じです。具体的には、次のような点がポイントになります。

〇有給休暇の付与日数は勤務日数・労働時間で決まる

 パート・アルバイト・派遣社員の有給休暇は、「週の所定労働日数」または「年間の所定労働日数」に応じて付与日数が変わります。

  • 週5日以上・週30時間以上:正社員と同じ付与日数(最大20日)
  • 週4日以下・週30時間未満:勤務日数に応じた比例付与(例:週3日勤務なら最大11日)

 シフト制や変動シフトの場合は、年間の所定労働日数で付与日数を計算します。

〇繰越ルールは正社員と同じ

 パート・アルバイト・派遣社員の有給休暇も、正社員と同じルールで繰り越されます。

  • 付与された有給休暇は 2年間使用可能
  • 使いきれなかった分は 翌年度へ繰越
  • ただし、2年を超えた分は 時効で消滅

〇年5日の取得義務も対象

 働き方改革法により、年10日以上付与される従業員には「年5日の取得義務」があります。この義務は正社員だけでなく、パート・アルバイト・派遣社員にも同様に課されます。

〇派遣社員の申請先は「派遣元企業」

 派遣社員の有給休暇は、派遣先ではなく派遣元(派遣会社)が管理します。取得申請や繰越の確認も派遣元に行う必要があるため、管理方法の周知が重要です。

5. 繰越分の消化忘れを防ぐための管理方法

 有給休暇は付与から2年で時効消滅するため、繰越分を放置するとすぐに失われてしまいます。企業が法令違反や取得漏れを防ぐためには、「残日数の正確な把握」「繰越処理の徹底」「計画的な取得促進」の3点を確実に管理することが重要です。

① 有給休暇の残日数と内訳を正確に管理する

 繰越分と今年度付与分は扱いが異なるため、「残日数の内訳(繰越分/付与分)」を正確に把握することが必須です。繰越分は年度末で時効を迎え、付与分は翌年度に持ち越すため、企業側が正しい管理を行わないと消滅日の誤認や付与漏れが発生します。

 「FC勤怠」のように、有給休暇の付与日・消滅日を自動管理できる勤怠管理システムを使えば、人的ミスを防ぎつつ管理工数を大幅に削減できます。

▼「FC勤怠」の有給休暇管理画面

② 有給休暇の繰越処理を確実に実施する

 有給休暇は付与日から2年間使用できるため、1年で消化できなかった分も翌年度に取得可能です。企業は、時効(2年)前に本来取得できる有給休暇を不当に消滅させないよう、適切に管理する必要があります。

 勤怠システムの自動付与・自動繰越」機能を使えば、人的ミスを防ぎ、法令に沿った正確な管理が可能です。

③ 繰越分が時効にならないよう計画的に取得を促す

 1回繰り越した有給休暇は、翌年度末で時効消滅するため、企業は従業員が計画的に取得できるよう環境を整える必要があります。特に、年10日以上付与される従業員には「年5日の取得義務」があるため、日々の取得状況の把握は欠かせません。

<取り組み例>

  • 時季指定や計画年休の活用(全社・部署・個別などの方式)
  • 半日休暇・時間単位年休の導入
  • 業務の属人化を防ぎ、休みやすい体制づくり
  • 個別の取得進捗管理・アラート通知機能の利用

これらを組み合わせることで、繰越分の時効消滅を防ぎ、有給消化率向上にもつながります。

6. 有給休暇を正しく管理したいなら「FC勤怠」

 有給休暇の繰り越しや年5日の取得義務を適切に管理するには、正確で継続的な運用が必要です。しかし、手作業では消滅日の誤認や付与漏れなどのリスクが生じやすく、担当者の負担も大きくなります。

 こうした課題を解決するには、有給休暇の付与・繰越・消滅を自動で管理できる勤怠管理システムの導入が最も効果的です。「FC勤怠」には、有給休暇管理を効率化するための機能が標準搭載されています。

  • 従業員ごとの付与日・繰越日・消滅日を自動管理
  • 前年度繰越分と今年度付与分の内訳を一目で確認
  • 年5日の取得義務をアラートで通知
  • 打刻・申請・承認までをワンシステムで完結
  • 複雑な就業ルールにも対応できる高いカスタマイズ性

 FC勤怠を活用することで、有給休暇の複雑な管理業務を自動化し、法令に沿った運用を安定して行えるようになります。導入のご相談や詳しい説明をご希望の方は、お気軽にお問い合わせください。