コアタイムとは?
意味・目的からフレックスタイム制のルールを解説!

#コアタイム

#フレックスタイム制

2026年05月22日

 コアタイムとは、フレックスタイム制において従業員が必ず勤務しなければならない時間帯のことです。設定は任意ですが、チームの連携を確保する目的で多くの企業が活用しています。

 フレックスタイム制の導入が広がるなか、「コアタイムとフレキシブルタイムの違いは?」「遅刻・早退の扱いはどうなる?」「残業代の計算方法は?」といった疑問を持つ人事担当者も多いのではないでしょうか。この記事では、コアタイムの意味・目的から設定方法・注意点・残業代の計算まで、フレックスタイム制の実務に必要な知識をまとめて解説します。

1. コアタイムとは

 コアタイムとは、フレックスタイム制において従業員が必ず勤務しなければならない時間帯のことです。

 フレックスタイム制は始業・終業時刻を従業員が自由に決められる制度のため、勤務時間がバラバラになると会議や共同作業が組みにくくなります。コアタイムを設けることで「この時間帯は全員が揃っている」という状態をつくり、チームの連携を確保するのが主な目的です。

 コアタイムの設定は任意であり、労使協定で合意できれば時間帯・時間数は企業が自由に決められます。曜日によって変えたり、1日の中で分割したりすることも可能です。コアタイムを設けないフレックスタイム制は完全フレックス制(スーパーフレックス制)と呼ばれます。

フレックスタイム制の基本的な仕組み

 フレックスタイム制とは、始業・終業時刻を従業員自身が決められる労働時間制度です。日本では1987年の労働基準法改正により、1988年から導入されました。

 通常の固定時間制が「1日8時間・9時〜17時」のように1日単位で労働時間を管理するのに対し、フレックスタイム制では「清算期間」と呼ばれる一定期間(最長3か月)の総労働時間をあらかじめ定めておき、従業員はその範囲内で各日の勤務時間を自由に決定します。清算期間内の総労働時間を満たせば、ある日は6時間、別の日は10時間でも問題ありません。

コアタイムとフレキシブルタイムの違い

フレックスタイム制度の時間帯を示す図。6:00〜10:00と15:00〜19:00がフレキシブルタイム、10:00〜15:00(休憩12:00〜13:00を除く)がコアタイム

 フレックスタイム制の時間帯は、コアタイムとフレキシブルタイムの2種類に分かれます。

コアタイム フレキシブルタイム
意味 必ず勤務しなければならない時間帯 自由に出退勤できる時間帯
設定 任意 コアタイム以外の時間帯
10:00〜15:00 6:00〜10:00、15:00〜20:00

 たとえばコアタイムを10:00〜15:00と設定した場合、それ以外の時間帯がフレキシブルタイムとなり、従業員は「7時出勤・15時退勤」でも「10時出勤・19時退勤」でも、清算期間の総労働時間を満たせば問題ありません。

 なお、フレキシブルタイムが極端に短い場合や、コアタイムが通常の始業〜終業時刻とほぼ一致する場合は、フレックスタイム制と認められないことがあるため注意が必要です。

2. コアタイムを設ける目的

 コアタイムの設定は法律上の義務ではありません。それでも多くの企業がコアタイムを設けている理由は、フレックスタイム制によって生じやすいコミュニケーション不足や業務効率の低下を防ぐためです。

 完全フレックス制では、従業員ごとに勤務時間が異なるため、次のような課題が発生しやすくなります。

  • 会議や打ち合わせの日程を調整しにくい
  • 業務の進捗確認や相談がしづらい
  • 部署内のコミュニケーションが減少する
  • 顧客対応や他部署との連携が遅れやすい
  • リモートワークでは勤務状況を把握しにくい

 そこで、多くの企業では「この時間帯は全員が勤務する」というコアタイムを設定し、情報共有やチーム連携をスムーズに行える環境を整えています。また、コアタイムがあることで、管理者側も勤怠状況や業務進捗を確認しやすくなり、労務管理コストの削減にもつながります。

 このように、コアタイムはフレックスタイム制の自由度を保ちながら、組織としての生産性やコミュニケーションを両立するための仕組みといえます。

3. コアタイムの設定方法と労使協定で定める項目

 コアタイムを設定するには、フレックスタイム制の導入手続きとして「就業規則への明記」と「労使協定の締結」の2つが必要です。

就業規則への明記

 まず、始業・終業時刻を従業員自身が決定できる旨を就業規則に明記します。コアタイムを設ける場合は、その時間帯も合わせて記載が必要です。

労使協定で定める6つの項目

 就業規則の整備後、労使協定を締結します。労使協定では以下の6項目を定める必要があります。

項目 内容
①対象となる従業員の範囲 全従業員・特定部署・特定職種など
②清算期間 上限3か月(2019年法改正で1か月から延長)
③清算期間の起算日 清算期間の開始日
④清算期間における総労働時間 清算期間内の所定労働時間
⑤標準となる1日の労働時間 有給休暇取得時などの基準となる時間
⑥コアタイム・フレキシブルタイム【任意】 時間帯・分割設定も可能

 コアタイムの具体的な時間帯は、労使協定の範囲内で自由に設定できます。曜日ごとに変えたり、1日の中で分割したりすることも認められています。

 なお、清算期間が1か月を超える場合は、労使協定届と労使協定の写しを労働基準監督署に届け出る義務があります。違反した場合は30万円以下の罰金が科されることがあるため注意が必要です。

参考:厚生労働省『効率的な働き方に向けて フレックスタイム制の導入』

4. コアタイムの適正な時間数

 コアタイムの開始・終了時刻や時間数について、労働基準法に具体的な規定はありません。労使協定で自由に設定できますが、フレックスタイム制の趣旨に反するとして認められないケースがあるため注意が必要です。

適正なコアタイムの考え方

 法律上の明確な基準はありませんが、前後に一定のフレキシブルタイムが確保されていることが必要です。従業員が早出・遅出を選択できる余地を残すため、中間の時間帯(例:10:00〜15:00)に設定する企業が多いのはこのためです。

 コアタイムが長すぎると従業員の自由度が損なわれ、短すぎるとチーム連携が難しくなります。職場環境・業務の実態・従業員のニーズを踏まえてバランスよく設定することが重要です。

認められないコアタイムの例

① 所定労働時間のほとんどを占めるケース

 所定労働時間が8時間の企業で、コアタイムを9:00〜18:00(休憩1時間)に設定した場合、コアタイムだけで実働8時間となり、従業員が始業・終業時刻を選択する余地がなくなります。これはフレックスタイム制とは認められません。

② 分割設定でも実質的に拘束されるケース

 コアタイムを9:00〜10:00と15:00〜17:00に分割した場合、時間数は短くても実質的な始業・終業時刻が固定されるため、認められないことがあります。

5. 遅刻・早退・半休した場合の扱い

遅刻・早退の扱い

 コアタイムに遅刻・早退した場合、その不就労時間を「遅刻・早退」として取り扱うことができます。ただし、清算期間内の総労働時間を満たしている限り、遅刻・早退分の賃金を控除することはできません。

 フレックスタイム制は、清算期間の総労働時間に対して過不足を清算する制度であるため、コアタイムへの遅刻・早退があっても、別の日に長く働いて総労働時間を満たしていれば、賃金カットの対象にはならないのです。

 ペナルティを設けたい場合は、就業規則の制裁規定に「正当な理由なくコアタイムに遅刻・早退してはならない」と明記したうえで、減給処分などを規定する必要があります。なお、減給額は労働基準法第91条により、1回の事案につき平均賃金の1日分の半額・総額は1賃金支払期の賃金の10分の1以内と上限が定められています。

 減給処分のほか、以下のような対策も有効です。

  • 賞与の査定に遅刻・早退の状況を反映させる
  • コアタイムを守った場合に皆勤手当などのインセンティブを支給する

欠勤の扱い

 コアタイムに欠勤があっても、他の日に長く働いて清算期間の総労働時間を満たしていれば、欠勤控除はできません。

半休(半日有給)の扱い

 年次有給休暇を取得した場合は、コアタイムを含めてその日1日働いたものとして扱います。半休(半日単位の有給休暇)を取得した場合は、コアタイムの半分の時間数を労働したとみなします。

6. フレックスタイム制のメリット・デメリット

メリット

① 通勤ラッシュを回避できる

 出勤時間を自由に調整できるため、混雑する時間帯を避けた通勤が可能になります。通勤ストレスの軽減は、仕事へのモチベーションや生産性の向上にもつながります。

② 仕事と育児・介護を両立しやすい

 保育園の送迎や通院など、ライフスタイルに合わせて勤務時間を調整できます。育児・介護を理由とした離職を防ぎやすく、従業員の定着率向上・採用コスト削減にもつながります。

③ 採用力・定着率の向上

 フレックスタイム制の導入は求職者へのアピールになります。柔軟な働き方ができる環境は、育児・介護中の方や多様なライフスタイルを持つ人材にも門戸を広げ、優秀な人材の確保と定着率の向上に有効です。

④ 残業コストを削減できる

 繁忙日に長く働き、閑散日に早く退勤するなど、業務量に応じた時間配分が可能になります。無駄な残業が減り、企業の人件費削減にもつながります。

デメリット・注意点

① 社内外のコミュニケーションが難しくなる

 勤務時間がバラバラになると、社員同士や取引先との連絡が取りにくくなります。チャット・オンラインツールの活用や、取引先へのコアタイムの共有など、体制整備が必要です。

② 勤怠管理が複雑になる

 清算期間ごとの総労働時間管理が必要なため、タイムカードによる手動集計は現実的ではありません。勤怠管理システムの導入が推奨されます。

③ 職種によって向き不向きがある

 研究職・デザイナーなど裁量の大きい職種には向いていますが、サービス業・営業職など対応時間が読めない職種では導入が難しいケースもあります。自社の業務形態に合うかどうかを事前に検討することが重要です。

7. 残業代・清算期間の注意点

フレックスタイム制における残業の考え方

 フレックスタイム制では、通常の固定時間制のように「終業時刻を超えた時間=残業」とはなりません。清算期間内の総労働時間を超えた時間が時間外労働(残業)として扱われます。

 例えば、清算期間1か月・総労働時間160時間と定めた場合、その月に170時間働いた従業員には10時間分の残業代を支払う義務があります。超過時間を翌月の清算期間に繰り越すことは認められないため、企業は清算期間ごとに必ず精算しなければなりません。

清算期間の延長(最大3か月)

 2019年4月の働き方改革関連法による労働基準法改正により、清算期間の上限が1か月から3か月に延長されました。これにより、1か月目に総労働時間が不足しても、2・3か月目に多く働いて相殺することが可能になり、より柔軟な労働時間管理ができるようになりました。

清算期間を1か月超にする場合の注意点

 清算期間を1か月超に設定する場合、以下の2点が時間外労働としてカウントされます。

  • 清算期間全体の法定労働時間の総枠を超えた時間
  • 各月ごとに週平均50時間を超えた時間

 また、清算期間が1か月を超える場合は、労使協定を所轄の労働基準監督署に届け出る義務があります。未届けの場合は罰則の対象となるため注意が必要です。

8. まとめ

 コアタイムとは、フレックスタイム制において全員が同時に勤務する時間帯を確保することで、社内外のコミュニケーションと業務効率を両立するための仕組みです。

 導入にあたっては、就業規則への明記と労使協定の締結が必要です。コアタイムは長すぎても短すぎても問題が生じるため、自社の業務形態と従業員のニーズに合ったバランスで設定することが重要です。

 フレックスタイム制の運用には、清算期間ごとの総労働時間を正確に管理できる勤怠管理システムが欠かせません。FC勤怠は、コアタイム・フレキシブルタイムの設定や清算期間の管理にも対応しており、フレックスタイム制の運用をスムーズにサポートします。導入を検討している企業はぜひご相談ください。