36協定の「残業45時間」とは?
残業時間の上限や勤怠管理のポイントを解説!

#36協定

#残業45時間

2026年04月17日

 36協定における残業45時間は、法律上の原則的な上限です。上限を超えると違法となる可能性がありますが、特別条項付き36協定があれば例外的に認められる場合もあります。企業が残業を命じるには36(サブロク)協定の締結が必要です。

 本記事では、36協定の基本ルールや企業がとるべき対応をわかりやすく解説します。

1. 36(サブロク)協定の45時間規制とは?

 労働基準法では、原則として法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超える労働は禁止されています。しかし企業が労働者と36協定を締結し、労働基準監督署に届け出ることで、一定の時間外労働(残業)が認められます。36協定の基本ルールとして、「月45時間・年360時間」という時間外労働の上限が定められています。2019年4月の「働き方改革関連法」施行により、この上限を超えた時間外労働を行うことが禁止され、違反した企業には罰則が科されるようになりました。

 ただし、「特別条項付き36協定」を締結すれば、一時的な繁忙期などに限り、この上限を超えた残業も可能となります。この特別条項については次の章で詳しく解説します。

2. 36協定を締結すると残業時間の上限はどう変わる?

2.1 36協定の基本ルール

 36協定を締結すると、以下の範囲内で時間外労働が可能になります。

✅ 通常の36協定(基本ルール)

  • 月45時間・年360時間まで(超過不可)

✅ 特別条項付き36協定(繁忙期など特別な事情がある場合)

  • 年間720時間以内
  • 単月で100時間未満(時間外労働と休日労働の合計時間)
  • 2〜6か月平均80時間以内(時間外労働と休日労働の合計時間)
  • 月45時間超の残業は年間6回まで(時間外労働)

 以下の表にまとめると、違いが一目でわかります。

36協定の種類 残業時間の上限
未締結 1日8時間・週40時間を超える残業不可
通常の36協定 月45時間・年360時間まで
特別条項付き36協定 年720h以内・月100h未満・2〜6か月平均80h以内・月45h超は年6回まで

 このように、36協定を締結しても、無制限に残業できるわけではない点に注意が必要です。

2.2 特別条項付き36協定の適用例

 「特別条項付き36協定」は、あくまで繁忙期などの特別な事情がある場合に限り適用されます。

特別条項の適用例

  • 例1:決算業務が集中する3月に一時的に残業を増やす
  • 例2:繁忙期のため特定の月に100時間近い残業が必要

3. 36協定違反となる事例

① 36協定を締結せずに時間外労働をさせた場合

 36協定を締結していない状態での残業は違法です。また、締結していても労働基準監督署へ届け出ていなければ無効となり、同様に違反となります。

具体例

  • ケース1:36協定を締結したが、労働基準監督署に届け出ず、従業員に時間外労働をさせた。

② 残業時間の上限を超えた場合

 36協定では、時間外労働の上限を「月45時間・年360時間」と定めています。これを超えた場合、違反となるため注意が必要です。

具体例

  • ケース2:特別条項付き36協定を締結せずに「特別な事情がある」と誤認し、月80時間の残業をさせた。

③ 休日労働・特別条項の上限を超えた場合

 特別条項付きの36協定を締結していても、以下の基準を超えると違反となります。

  • 年間の時間外労働:720時間以内
  • 時間外+休日労働の合計:月100時間未満
  • 月45時間超の残業回数:年6回まで
  • 2〜6ヶ月平均の時間外+休日労働:80時間以内

具体例

  • ケース3:時間外労働と休日労働の合計が月100時間を超えた。
  • ケース4:月45時間を超える時間外労働を年6回以上行った。

4. 月の残業時間が45時間を超えた場合の対処方法

 もし残業時間が月45時間を超えてしまった場合、どのように対応すべきでしょうか。

 まず気になるのは罰則の有無ですが、月45時間を超えたからといって直ちに罰則が科されるわけではありません。しかし、労働基準監督署の調査などで違反が発覚すると、是正指導が行われます。指導に従わない場合や違反が常態化している場合は、罰則適用や企業名の公表に至ることもあります。

対応策

  • 「特別条項付き36協定」を締結し、労働基準監督署へ届け出る
  • 業務量の見直し・勤怠管理の徹底で残業を抑制

5. 36協定に違反した場合の罰則とリスク

 36協定に違反すると、労働基準法違反となり、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる可能性があります(労働基準法第119条)。

違反となるケース

  • 36協定を締結せずに時間外労働や休日労働をさせた場合
  • 36協定を締結したが、労働基準監督署へ届け出をしていなかった場合
  • 法定の上限時間(年720時間、月100時間未満、2〜6ヶ月平均80時間以内など)を超過した場合

 罰則の対象は労働者ではなく、使用者(企業や管理責任者)です。さらに、違反が発覚すると企業名が公表され、社会的信用の低下や採用活動への悪影響といったリスクも伴います。

 適切な勤怠管理を行い、法令遵守を徹底することが重要です。

6. 36協定の締結方法と届け出の流れ

※引用(PDF)::時間外・休日労働に関する協定届(36協定届)|厚生労働省 東京労働局

 企業が時間外労働(残業)や休日労働を行うには、労使間で36協定を締結し、労働基準監督署へ届け出る必要があります。ここでは、その手続きを3つのステップで解説します。

① 労働者代表と協議し、労使協定を結ぶ

 36協定は、企業が一方的に決めることはできません。労働組合または労働者代表と協議し、合意を得る必要があります。

 協議の対象は以下のいずれかです。

  • 労働組合(労働者の過半数が加入している場合)
  • 労働者の過半数代表者(労働組合がない場合)

 注意:労働者代表は会社側が指名せず、従業員が選出することが必須です。

② 36協定書を作成する

 協議が完了したら、36協定の内容を文書にまとめます。

36協定に記載すべき内容

  • 時間外労働・休日労働を行う業務の範囲
  • 時間外労働の上限(月45時間・年360時間)
  • 特別条項付き協定の場合の詳細(年間720時間以内、単月100時間未満 など)
  • 協定の有効期間(最長1年。毎年更新が必要)
  • 労働者代表の署名・押印

 なお、36協定の記入例を厚生労働省が発表しているため、参考にするとスムーズです。
「時間外・休日労働に関する協定届(36協定届)」

③ 労働基準監督署へ届け出る

 作成した36協定は、所轄の労働基準監督署へ提出する必要があります。

〇提出方法

  • 直接、労働基準監督署へ持参する
  • 郵送で送る(コピーを取っておくと安心)
  • e-Gov(イーガブ)で電子申請(オンラインで簡単に提出可能)

〇提出期限

  • 協定の有効開始前に届け出ることが必須
  • 届け出を忘れると法律違反となるため注意!

全国の労働基準監督署一覧はこちら
全国労働基準監督署の所在案内(厚生労働省)

電子申請はこちら
e-Gov電子申請ページ

7. 人事・労務担当者が知っておくべき45時間規制のポイント

 法令を守ることは当然ですが、残業時間の上限ギリギリで運用するのではなく、労働環境の改善にも目を向けることが重要です。ここでは、36協定の上限を超えないための具体的な方法について解説します。

(1) 労働時間を適正に把握する

 36協定の月45時間の残業上限を守るには、まず従業員の労働時間を正確に把握することが不可欠です。

 ▼勤怠管理システムによる勤怠状況一覧のイメージ

 管理者が従業員の労働時間をリアルタイムで把握することで、上限に近づいている従業員を事前に特定し、適切な対策を講じることができます。

(2) 上限時間に近づいたらアラートを出す

 リアルタイムで労働時間を把握するだけでなく、上限に達する前にアラートを出す仕組みを導入しましょう。

 ▼勤怠管理システムによる残業アラートの設定画面イメージ

 たとえ適切に記録していても、管理が後手に回ると「月の半ばで既に上限を超えていた」という事態になりかねません。勤怠管理システムを活用すれば、従業員本人や管理者に自動で通知が届くため、うっかり上限を超えるのを防ぐことができます。

(3) 残業を減らせる体制・仕組みを作る

 残業の常態化を防ぐためには、業務や人員配置を見直し、長時間労働を減らす仕組みを構築することも重要です。

  • 人員不足の場合 → 人員補充や業務分担の見直し
  • 取引先とのやり取りが時間外に集中 → 時差出勤・フレックスタイム制の導入
  • 事前承認制度の導入 → 残業の累計時間を上司がチェックし、上限超過を未然に防ぐ

 FC勤怠では、管理者はリアルタイムで従業員の勤怠状況を確認し、残業時間の承認時に適切な判断ができます。

①:管理者(上司)が、残業申請を受けた際に確認する画面

②:勤務表から、従業員の残業時間を確認する

8. まとめ|36協定の残業上限は原則月45時間!適切に締結し、遵守しましょう

 36協定の残業上限は原則「月45時間」です。これを超える場合は特別条項が必要で、条件を満たさなければ違法となります。

8.1 36協定と残業時間の上限

 以下の表に、36協定の締結状況ごとの残業時間の上限をまとめました。

36協定の締結状況 残業時間の上限
未締結の場合 1日8時間、週40時間を超える残業は不可
通常の36協定 月45時間、年間360時間まで
(法定休日労働を含まない)
特別条項付き 年720h以内・月100h未満・2〜6か月平均80h以内・月45h超は年6回まで

8.2 適切な勤怠管理で法令遵守と労働環境改善を実現

 36協定のルールを遵守することは、法令違反を防ぐだけでなく、従業員の健康や企業の信頼を守ることにもつながります。

 FC勤怠では、リアルタイムの勤怠管理、残業アラート、承認フローなど、適切な労働時間管理をサポートする機能を提供しています。企業の労働環境の改善に向けて、適切な勤怠管理を実施しましょう。