振休(振替休日)と代休の違いとは?
給与への影響を解説!

#勤怠管理

#振休

#代休

2025年09月11日

 休日と勤務日を入れ替えて働くことを「振替休日」といいます。一方で、休日に出勤した後に別の日を休みにする「代休」とは、仕組みが似ているため、混同しやすいと感じている方も多いのではないでしょうか。
 実際には、振替休日と代休では取得のタイミングや割増賃金の扱いに明確な違いがあり、その違いを正しく理解せずに運用すると、労働基準法違反となる可能性もあります。
 本記事では、振替休日と代休の違いをわかりやすく整理し、それぞれの取得方法や注意点について詳しく解説します。

1.振休(振替休日)と代休の違いとは?

 「振替休日」と「代休」は、どちらも“別の日に休みを取る”制度ですが、定義と仕組みがまったく異なります。この違いを理解していないと、勤怠管理や給与計算のミスにつながり、労務トラブルを招く可能性もあるため注意が必要です。

1.1 振替休日とは?

 振替休日とは、もともと休日だった日を出勤日に変更し、代わりに別の平日を休日にする制度です。ポイントは、出勤する前にあらかじめ「振り替える日」を決めておくこと。この手続きが正しく行われていれば、振替後の出勤日は「休日労働」ではなくなり、割増賃金の支払い義務も発生しません。

 例:日曜日が本来の休日だったが、その日を勤務日に変更し、水曜日を代わりの休みにする。

1.2 代休とは?

 代休とは、本来休みだった日に出勤したあと、その代わりとして別の日に休みを取る制度です。出勤したあとに休みを設定するため、その勤務は「休日労働」として扱われます。

 事前に休日の振替手続きがされていない場合は、代休を与えても「休日に働いた」事実は変わらず、割増賃金の対象となります(詳細は次章で解説)。

 例:【日曜日】 本来の休日 → 出勤(急な対応など)
 【火曜日】 別日に代休を取得
 日曜の出勤は「休日労働」として扱われる

1.3 取得タイミングの違い(事前か事後か)

 振休と代休の最大の違いは、「休みの日をいつ決めるか」にあります。振替休日は事前にスケジュール変更を行うのに対し、代休は事後対応です。この違いが、割増賃金の有無や勤怠の扱いに直結します。

参考:厚生労働省|振替休日と代休の違いは何か。

2.割増賃金の扱いと給与計算への影響

2.1 振休と代休における賃金の違い

〇振休の場合

 事前に休日と平日を振り替えていれば、もともとの休日は「通常の労働日」として扱われるため、休日労働ではなく、割増賃金の支払いは不要です。ただし、時間外労働や深夜労働が発生した場合は別途割増対象となります。

〇代休の場合

 事前に振り替えていなければ、その休日出勤は「休日労働」として扱われます。特に法定休日に出勤した場合は、代休を与えても割増賃金(35%以上)の支払いが必要です。これは労働基準法により定められており、代休の取得だけでは割増賃金の支払い義務を免れません。

✅ ポイント:
振休は給与に影響が少ない。
代休は休日出勤として給与の加算が必要。

2.2 法定休日・法定外休日との関係

 休日には、「法定休日」と「法定外休日(所定休日)」があります。これらの違いによっても、給与計算の方法や割増賃金率が変わります。

〇法定休日

会社が週1回以上設けなければならないと定められた休日です(労働基準法35条)。この日に出勤すると、最低でも35%の割増賃金が必要になります。

〇法定外休日(所定休日)

 法定外休日(所定休日)とは、就業規則などで会社が独自に定めた休日で、労働基準法で定められた法定休日(日曜など)以外の休みを指します。この日に出勤しても、その日の労働時間が8時間以内であれば「休日労働割増(35%)」は発生しません。

 ただし、注意が必要なのは「週40時間(または1日8時間)を超えた場合」です。

 ・週の労働時間が40時間を超えれば、その分は時間外労働となり、25%以上の割増賃金が必要になります。
 ・例えば、日曜を法定休日とする会社で「土曜を所定休日」としている場合、月〜金で40時間勤務していれば、土曜の労働はすべて時間外労働扱いになります。

 つまり、所定休日労働=必ずしも割増なし、ではなく、週の総労働時間の上限とセットで考える必要がある点に注意しましょう。

3.3. まとめ:振休と代休を正しく理解し、適切な勤怠管理を行いましょう!

 振替休日と代休は似ていますが、運用ルールや賃金の扱いが異なります。

 振替休日は「事前に休日と勤務日を入れ替える制度」で、原則として休日手当は不要です。ただし、週40時間を超えるなどの場合は割増賃金が必要になることがあります。

 一方、代休は「休日出勤の代わりに後日休む制度」であり、出勤した日の分は休日手当として割増賃金を支払う必要があります。たとえ代休を与えても、その分の給与を免れることはできません。

 それぞれの制度を正しく理解し、就業規則での明確なルール化や、36協定の締結など必要な手続きを行ったうえで、適切に勤怠管理を進めましょう。