派遣社員の勤怠管理はどっちの責任?
派遣元・派遣先の違いをわかりやすく解説

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#派遣

2025年09月11日

 派遣社員の勤怠管理は、派遣元と派遣先で責任が分かれていることをご存じでしょうか。
 派遣元は雇用主として給与・有給休暇・社会保険などの労務管理を担い、派遣先は実際の勤務時間の把握や安全衛生、ハラスメント防止といった現場管理を担います。もし双方の役割を正しく理解していないと、労使トラブルや給与計算のミス、法令違反につながる可能性があります。
 本記事では、派遣社員の勤怠管理における基本的な考え方と、派遣元・派遣先それぞれが管理すべき具体的な項目をわかりやすく解説します。

1.派遣社員の勤怠管理における派遣元と派遣先の役割分担

 派遣社員の雇用形態は、一般的な直接雇用とは異なり、雇用契約を結ぶ派遣会社(派遣元)と、実際に働く職場である企業(派遣先)の二つの企業が関わります。派遣社員を雇用しているのは派遣元ですが、実際に業務を指揮・監督しているのは派遣先であり、両者が異なる立場から勤怠を管理しなければなりません。

 正確な勤怠管理を行うには、派遣元と派遣先の連携が不可欠です。どちらか一方に任せきりにすると、労働時間の記録漏れや残業代の未払いなど、労務トラブルにつながる恐れがあります。そのため、「派遣元は雇用契約に基づく管理」「派遣先は現場での労働時間や環境の管理」という役割分担を正しく理解することが重要です。

 具体的には、派遣元は給与や残業代の支払い、有給休暇の付与、社会保険の加入など、雇用主としての責任を負います。一方で派遣先は、出退勤の記録や労働時間の管理、安全衛生やハラスメント防止といった職場環境の整備を担います。

2.派遣元企業が管理すべき項目



 派遣元企業は雇用主として、以下の項目を管理する責任があります。

賃金の支払

 派遣元は派遣先から提供される労働時間データを基に、正確な給与計算を行わなければなりません。労基法第24条では「賃金は毎月1回以上、一定期日に全額を支払うこと」と規定されています。未払いは重大な違反になります。

36協定の締結・届出

 派遣社員に時間外・休日労働を命じるには、派遣元が労使協定(36協定)を締結し、労基署に届出る必要があります。派遣先で協定があっても、派遣元で締結していなければ違法残業となります。

年次有給休暇の管理

 派遣社員も他の労働者と同様に、勤続6か月で8割以上出勤すれば有休が発生します。派遣元は有給休暇の付与・管理を行い、取得機会を保障しなければなりません。

労働者災害補償保険

 派遣社員も労災保険の対象です。派遣元は労災発生時に適切な補償を行う義務があります。

健康管理

 派遣元は労働安全衛生法に基づき、定期健康診断やストレスチェックを実施し、派遣社員の健康を守る責任を負います。


3.派遣先企業が管理すべき項目

 派遣先企業は労務指揮命令を行う立場として、現場の労働環境に関する以下の項目を管理します。

労働時間の把握

 派遣先は日々の出退勤や残業時間を正しく記録し、派遣元に報告する義務があります。法定労働時間を超えないよう注意が必要です。

休憩時間の付与

 労基法では6時間超労働で45分、8時間超で60分以上の休憩が義務付けられています。派遣先はこれを確実に守らなければなりません。

安全衛生管理

 派遣先は現場の安全衛生を担います。危険箇所の明示、保護具の準備、機械設備の点検など、派遣社員が安全に働ける環境を確保する必要があります。

ハラスメント防止

 派遣先はパワハラ・セクハラなどを防止する措置を取らなければなりません。相談窓口の設置や再発防止策の徹底も必要です。派遣社員から申告があった場合は、派遣元に速やかに報告することが求められます。


4.派遣社員に対応した勤怠管理システムの機能とは



4.1 選べる打刻機能(スマートフォン)

 勤怠管理システムにはさまざまな打刻方法があります。派遣先や派遣社員の働き方が多様なため、勤務地や勤務時間に制限されない柔軟な打刻方法が備わっていることが重要です。特に、スマートフォンから打刻できる機能があれば、より便利に活用できるでしょう。

4.2 休暇・残業管理

 勤怠管理にはさまざまな項目があります。出退勤の打刻方法や休憩時間の管理、休暇の取得状況や日数などを、一括で管理できる仕組みになっているかが重要なポイントです。
 また、勤怠管理で注意すべき点のひとつが労働時間の切り捨てです。例えば「30分未満を切り捨て」とする設定の場合、その分の労働時間が未払いとなり、労働基準法に違反する可能性があります。適正に1分単位で労働時間を計算できるか、コンプライアンスの観点からも確認が必要です。

4.3 契約書管理

 派遣元企業と派遣社員の契約情報や給与関連書類、派遣先企業との契約内容を管理・更新する機能です。具体的には、派遣社員との雇用契約や給与の管理に加え、派遣先企業の情報や契約した業務内容、派遣開始日・終了予定日、契約時給などの詳細情報を一元管理します。

4.4 人事管理

 派遣社員の入社手続きや雇用契約、従業員情報をクラウド上で一元管理できる機能です。契約内容や雇用期間に加え、現在の稼働状況(稼働中/休職中)をリアルタイムで把握できると、よりスムーズな管理が可能になります。さらに、契約更新の自動通知機能があれば、更新漏れの防止にも役立ちます。


5.派遣社員の勤怠管理に勤怠管理システムを利用するメリットとは

 派遣社員の勤怠管理は、派遣元企業と派遣先企業の両方で異なる管理が求められるため、一般的な直接雇用の社員に比べて複雑です。特に、両社のデータ連携がうまくいかないと、正確な勤怠管理ができず、給与の支払いにも影響が出る可能性があります。
 こうした課題を解決し、より効率的に管理を行うための手段として、「勤怠管理システム」が有効です。では、勤怠管理システムを導入すると、派遣元企業・派遣先企業それぞれにどのようなメリットがあるのでしょうか? 詳しく見ていきましょう。

5.1 リアルタイムで派遣社員の労働時間を把握できる

 勤怠管理システムを使えば、スマートフォンやタブレットのアプリ、パソコンなどの端末から簡単に打刻できます。これにより、従来のように出社や退社の連絡をメールで行う必要がなくなり、派遣社員の出退勤状況をリアルタイムで把握できるようになります。

5.2 残業や有給休暇などの申請・承認が簡易にできる

 残業申請、有給休暇申請など、さまざまな勤怠に関する手続きをシステム上で簡単に行うことができます。さらに、申請内容の承認もシステム内で完結するため、申請から承認結果の確認までの流れがスムーズになり、手続きの効率化が図れます。これにより、担当者や社員の手間を減らし、迅速な対応が可能となります。

5.3 勤怠の集計を自動・効率化できる

 勤怠管理システムを使えば、派遣社員ごとのデータを一括で管理し、オンラインで派遣元企業と派遣先企業間で簡単に共有できるようになります。これまで、情報の連携やコミュニケーションに時間がかかっていた場合でも、システムを使えばリアルタイムで即座に確認・共有が可能となります。
 さらに、システムにあらかじめ派遣社員ごとの雇用条件を登録しておけば、労働時間の集計結果を自動的に算出でき、月次の集計作業が大幅に効率化されます。これにより、手作業での負担を減らし、作業時間の短縮が実現できます。

5.4 打刻もれや集計ミスなどのヒューマンエラーを防止できる

 勤怠管理システムを使えば、出退勤の管理がスムーズになり、エラー発生時には警告機能が働くため、打刻漏れやミスを減らすことができます。また、集計やスケジュール管理などが自動で行われるため、人的なミスを最小限に抑えることができます。これにより、従来人手で行っていた作業が自動化され、ヒューマンエラーを大幅に減らすことができます。


6.多様な働き方にも対応する勤怠管理システム「FC勤怠」

 派遣社員の勤怠管理は、派遣元と派遣先の双方での連携が欠かせません。しかし現実には、情報のやり取りやリアルタイムでの把握が難しく、双方の負担が大きいのが実情です。

 株式会社ファーストコンサルティングが提供するクラウド型勤怠管理システム「FC勤怠」は、労働時間や残業時間、休暇取得状況をリアルタイムで一元管理できます。さらに「FC人事」「FC派遣契約」と組み合わせることで、契約・人事情報までまとめて管理可能。派遣元と派遣先が同じデータを共有することで、勤怠管理の効率化と法令遵守の両立が実現します。

 勤怠管理システムの導入をお考えの方は、ぜひ「FC勤怠」をご検討ください。